基本的な考え方

当社は総合素材メーカーとしてバリューチェーン全体で多くの取引先との協働し、共生を促進することで付加価値を向上させています。また、「製品の安定供給」や「製品の競争力強化」を目指し、グローバルな調達活動を積極的に展開しています。
安定した調達は操業の安定化と機会損失の減少につながるため、公平・公正な取引、腐敗防止、法令遵守、人権等に配慮し、取引先と社会や環境への負の影響を予防・軽減する協力関係の構築を目指しています。

三菱マテリアルグループ調達方針

  1. 門戸開放・公正な取引
    私たちは、サプライヤー選定にあたり、全てのサプライヤーの皆様に広く取引の機会を提供いたします。
    また、サプライヤーの選定は、相互信頼に基づく取引より共存共栄を実現することを目指し、品質・価格・納期・経営基盤等を公平かつ適正に評価して行うものとします。
     
  2. 法令遵守
    私たちは、調達を行うにあたり、国内外の法令を遵守いたします。
     
  3. 調達倫理の遵守
    私たちは、調達を行うにあたり、サプライヤー等との不適切な利益の授受は行いません。
     
  4. 労働環境・労働衛生
    私たちは、調達を行うにあたり、労働環境の向上や労働衛生の確保を推進いたします。
     
  5. 環境保全・脱炭素化
    私たちは、調達を行うにあたり、環境保全に努め、脱炭素化、資源の有効活用とその再資源化に取り組みます。
     
  6. 人権尊重
    私たちは、調達を行うにあたり、国際的に宣言されている人権の原則を尊重します。
     
  7. 情報セキュリティ
    私たちは、調達を行うにあたり、サプライヤーの皆様他から得た情報等の機密を厳格に管理いたします。
     

私たちは、調達を行うにあたり、本取組みを原材料調達から素材・製品の開発、生産、流通、消費、廃棄そして再資源化を含むすべての事業活動の中で推進いたします。


制定日 2021年12月1日

目標とKPI

活動テーマ

2024年度の活動実績

自己評価

2025年度以降の活動目標・予定

  • 物流資材部門・CSR調達ガイドラインの運用
  • 新規取引先採用審査:100%実施(27社)
  • 既存取引先定期評価:2024年度予定分100%実施(131社)
  • 人権デューデリジェンスの取り組み:リスク評価の結果から高リスクと判断されたサプライヤーに対し100%実施(物流資材部門の取引先22社、サービス等の取引先4社)

B

  • 新規取引先採用審査:100%実施
  • 既存取引先定期評価:2025年度予定分100%実施
  • 人権デューデリジェンスの取組:リスク評価の結果から高リスクと判断されたサプライヤーに対し100%実施
  • 銅製品の原料調達における取り組み
  • 責任ある鉱物調達方針の運用

A

  • 責任ある鉱物調達方針の運用・維持

自己評価 A:目標達成 B:概ね目標達成 C:目標未達成

物流資材部門・CSR調達ガイドラインの運用

当社では、グローバルなサプライチェーンにおけるCSR課題に対する組織的な対応力強化のため、「物流資材部門CSR調達ガイドライン」を取引先へ周知し、内容を相互に確認のうえ契約書を締結する等の取り組みを行っています。本ガイドラインは、銅精鉱以外の原材料・資機材を対象とし、公正な取引、人権尊重、法令遵守、調達倫理、労働衛生、環境保全、情報セキュリティ等、当社が守るべき項目として当社の上位方針である「調達基本方針」と、これら項目に加え、公正な事業活動、労働環境整備・労働時間、結社の自由、責任ある原料調達、製品の品質と安全性、知的財産の保護、情報開示、通報者の保護等に関して取引先に遵守をお願いする「CSR調達基準」から構成されています。

また、当社では、取引先での取り組みの実効性を確保するため、2016年4月より新規取引先採用審査および既存取引先定期評価を行い、必要に応じて現地監査も実施しています。

 

■新規取引先採用審査
後述する「サプライヤーセルフチェックシート」の回答内容を基に総合的な採用審査を行い、所定の基準を満たしていることを確認したうえで取引を開始しています。

 

■既存取引先定期評価
主要品目の調達先を中心に重要取引先を選定し、新規取引先採用審査と同様に「サプライヤーセルフチェックシート」に基づく定期評価を実施しています。定期評価の結果は、取引先に個別でフィードバックを行い、その内容を総合に確認、必要に応じて低評価項目に対する改善要求を行っています。

 

■サプライヤーセルフチェックシートの運用
新規取引先の採用審査および既存取引先の定期評価では、事前に「サプライヤーセルフチェックシート」による自己評価を依頼しています。このセルフチェックシートでは、一般的な評価項目である品質や価格、供給、技術力といった項目に加え、2023年度からはCSR、人権、ESGに関する項目を拡充し、計13の項目に対して方針、体制、取り組み、是正に関する仕組みの有無を確認しています。 

サプライヤーセルフチェック項目

1.CSR

1)CSR推進体制の構築

2)事業継続計画(BCP)体制の構築

3)内部通報制度の構築

2.人権

1)人権に対する基本姿勢

2)人権の尊重と差別の禁止

3)強制労働の禁止

4)児童労働の禁止

5)地域社会または先住民の生活・文化の尊重ならびに配慮

3.労働

1)労働慣行に対する基本姿勢

2)雇用における差別の禁止

3)人材育成やキャリアアップ等に関する従業員への平等な機会提供

4)非人道的な扱いの禁止

5)適正な賃金の支払い

6)労働時間、休暇・有給休暇等の公正な適用

7)結社の自由と団体交渉の権利の認識と尊重

8)従業員の安全衛生、健康についての適切な管理

4.企業活動・企業倫理

1)公正な企業活動に対する基本姿勢

2)事業活動を行う国内外の現地行政や公務員との適切な関係の構築

3)営業または購買活動等における、顧客や取引先等との不適切な利益の授受の防止

4)利益相反行為の禁止

5)営業活動等における、競争法違反の防止

6)第三者の知的財産の無断使用や著作物の違法複製防止

7)反社会的勢力・団体との関係排除

8)兼業・関連当事者等の状況確認

5.環境管理

1)環境への取組みに対する基本姿勢

2)製造工程、製品およびサービスにおける、法令等で指定された化学物質の管理

3)排水・汚泥・排気の管理及び発生の削減

4)資源(エネルギー、水、原材料等)の持続可能で効率的な利用

5)GHG(温室効果ガス)の排出量削減

6)廃棄物の特定、管理、削減、および責任ある廃棄またはリサイクル

7)自然資源の持続的な利用

8)当該項目に関する認定取得状況

6.品質・安全性

1)製品・サービスの品質・安全性に対する基本姿勢

2)製品・サービスの品質・安全性の確保

3)製品・サービスの事故や不良品流通の発生時の適切な対応

4)当該項目に関する認定取得状況

7.情報セキュリティ

1)情報セキュリティに対する基本姿勢

2)コンピュータ・ネットワークへの攻撃に対する防御

3)個人情報およびプライバシー保護

4)機密情報の不正利用防止

8.サプライチェーン

1)サプライチェーンに対する基本姿勢

2)CSR調達方針の周知

3)サプライヤーの評価

4)紛争や犯罪への関与の無い原材料の使用(紛争鉱物への取組み)

9.品質管理

1)品質管理体制の構築

10.コスト管理

1)仕入先価

2)当該項目に関する具体的な取組、活動内容

11.納期管理

1)納期遵守

2)当該項目に関する具体的な取組、活動内容

12.生産・供給管理

1)生産管理・供給管理

2)生産管理・供給管理に関する具体的な取組、活動内容

3)供給余力

4)供給余力に関する具体的な取組、活動内容

13.技術力

1)技術力

2)当該項目に関する具体的な取組、活動内容

■人権デューデリジェンスの取り組み

  • 物流資材部門の取組み 
    既存取引先定期評価を通じて、重要取引先を中心にサプライチェーン上の人権リスクも特定、評価しています。是正が必要と認められる場合は、対象となる事項に対する改善要求とその改善状況の継続的なモニタリングを実施しています。Tier1の取引先のみならず、その仕入先への「サプライヤーセルフチェック」の展開も依頼し、可能な限りTier2の取引先までリスク評価を行っています。
    また、2024年度から2025年度にかけては、重要取引先以外の取引先(取引実績や業種リスクから抽出した270社)に対しても、「サプライヤーセルフチェックシート」を用いた人権リスク評価を実施しており、2024年度は約半数の140社へセルフチェックを依頼しました。2025年度は残りの130社への依頼を予定しています。
    それぞれの人権リスク評価の結果、2024年度は計22社が高リスク懸念先として特定されました。これらの取引先に対しては、人権デューデリジェンスの一環として個別でフィードバックと改善要求を実施し、いずれの取引先も改善済み又は改善活動中であることを確認しています。引き続き、取引先の改善を促進していくことでサプライチェーン全体の改善を図っていきます。

    なお、新規取引先については、人権リスク評価の結果を取引開始要件の1つとし、低い評点が認められる場合、その対応方針を取引先に示し、継続的なモニタリングを行う等の適切な対応を図っています。
     
  • 物流資材部門以外の取組み 
    2024年度は、人権デューデリジェンスの対象範囲を、当社拠点の敷地内等でサービスを提供する取引先や、当社製品の加工を委託する取引先(以下、「サービス等の取引先」)まで拡大しました。
    2024年度は、対象となる約270社のサービス等の取引先に対し、「サプライヤーセルフチェックシート」を用いて人権リスク評価を実施しました。人権リスク評価の結果、高リスクの懸念がある取引先は4社と特定され、継続的にフォローアップを実施し、改善を図りました。
    また、対象となったサービス等の取引先に対しても、物流資材部門で使用するCSR調達ガイドライン等を周知し、調達基準を遵守することを求めました。
     

国際的なイニシアチブへの参画
物流資材部門では、国連グローバル・コンパクト(GCNJ)のサプライチェーン分科会の一員として参画し、社会の動向を把握、自社課題の抽出とその解決に向けた取り組みや監視を適切に推進しています。

金属事業のバリューチェーン

金属事業は、鉱山、製錬、資源循環の3つの事業分野に展開しています。鉱山部門では、海外の銅鉱山への投資を通じて、クリーンな銅精鉱の安定的な調達に貢献しています。製錬部門では、高効率で環境負荷の極めて低い「三菱連続製銅法」により、高品質の製品を製造・販売しているほか、製錬プロセスを活用し、E-Scrap等から有価金属を効率的に回収し、リサイクルするシステムを確立しています。また、「三菱の金」ブランドのもと、個人向けに「マイ・ゴールドパートナー」等の貴金属地金商品・サービスを提供しています。資源循環部門では、パートナー企業と共同で家電、自動車の廃製品のリサイクル工場を運営するとともに、製錬部門との連携を活かして資源循環モデルの拡大に取り組んでいます。

金属事業のバリューチェーン

The Copper Mark認証取得
~国内の銅製錬所、直島製錬所・小名浜製錬所で取得~

当社直島製錬所およびグループ会社の小名浜製錬株式会社小名浜製錬所は、2024年10月4日付でThe Copper Mark(以下、「Copper Mark」)認証を取得しました。
Copper Markは2019年に設立された、銅産業の「責任ある生産」ならびに国連が提唱するSDGsへの貢献を示す枠組みです。銅、モリブデン、ニッケル、亜鉛のバリューチェーン全体にわたり、責任ある事業慣行を促進するための業界を代表する保証の枠組みであり、これらの金属のバリューチェーンに係わる企業や組織と連携し、企業や組織が、独立検証された責任ある事業慣行に対する要請がますます高まっている状況をより深く理解し、それに応え、持続可能な開発に積極的に貢献できるようになることを目指しています。
当社グループは、2023年12月よりCopper Markの認証取得手続きを開始し、独立した第三者機関の審査を経て認証取得に至りました。このたびの認証取得は、当社グループが中期経営戦略2030において重点マテリアリティ(重要課題)として設定している、「地球環境への貢献」「持続可能なサプライチェーンマネジメント」「人権の尊重」に関するさまざまな取組みが着実に成果をあげていると客観的に評価されたものです。
当社グループは「人と社会と地球のために、循環をデザインし、持続可能な社会を実現する」ことを私たちの目指す姿と定めています。これからも銅製錬所の持つ役割を最大限活かし、目指す姿の実現に取り組んでまいります。 

ロゴ
直島製錬所(香川県)
拡大
直島製錬所(香川県)
小名浜製錬(株)小名浜製錬所
(福島県)
拡大
小名浜製錬(株)小名浜製錬所
(福島県)

高機能製品のバリューチェーン

高機能製品においては、市場ニーズや技術開発で共通性の高い銅加工と電子材料の2つの事業を一体的に運営し、ユニークな技術を活かしたさまざまな製品を、注力市場である次世代自動車、半導体製造・エレクトロニクス、産業機器・ロボット・インフラ向けに供給しています。
当社は、次世代自動車市場において重要な役割を果たすため、さまざまな製品を供給しています。大電流・高電圧、大容量通信への対応には、無酸素銅や高機能銅合金、リードフレーム等各種の銅加工品は欠かせません。また、省エネルギーを目的として主に自動車ガラスに使用されている熱線カット塗料、各種センサ等の車載用電子部品も供給しています。半導体製造・エレクトロニクス市場向けには、半導体製造装置向けシリコン加工品や半導体製造装置用シール製品等を供給しています。産業機器・ロボット・インフラ向けには、MRIや科学研究に利用される超電導線、高機能合金線、環境にやさしい鉛フリー快削黄銅エコブラス®やGloBrass®等を供給しています。
このように、高機能製品における事業は、社会のメガトレンドに対応した高付加価値な製品の提供を通じ、新たなモビリティの普及をはじめ、社会の発展に広く貢献しています。

高機能製品のバリューチェーン

加工事業のバリューチェーン

加工事業では、金属部品の加工に不可欠な切削工具や超硬工具(土木建設工具、鉱山工具、耐摩工具等)を供給しています。製造・販売拠点は、米州、欧州、中国、アジアとグローバルに展開しています。当社は、高い技術と信頼性により、お客さまのご要望に沿った付加価値の高い製品・サービスの提供を通じてさまざまな分野のものづくりを支えており、特に日本では大きなシェアを占めています。また、超硬合金の主原料であるタングステンはレアメタルの一種であり、鉱物資源としての調達リスクが顕在化する可能性がありますが、当社は使用済み超硬工具の回収・再資源化にも注力しており、2024年度のタングステンリサイクル率は58.6%を達成しました。2025年には、欧州でタングステン原料の製造販売、リサイクル事業を担うH.C. Starck Holding (Germany) GmbH (H.C. Starck)が当社グループに加わり、サプライチェーンのさらなる強化を進めています。

加工事業のバリューチェーン

再生可能エネルギー事業のバリューチェーン

再生可能エネルギー事業では、地熱発電、水力発電、太陽光発電、風力発電等、再生可能エネルギーの安定供給を通じて脱炭素社会の構築に貢献しています。

関連事業のバリューチェーン

関連事業では、鉱⼭跡地を整備し、観光坑道として活⽤しています。
セメント事業では、主原料となる石灰石の鉱山から、セメント工場、輸送・販売、生コンクリート工場、建設会社等、幅広い事業体制を構築しています。これにより、社会インフラの整備に貢献しているほか、国内外に製造・販売拠点を展開するなど、グローバルに活動しています。また、普通ポルトランドセメント等の汎用品に加え、低発熱型セメントや高強度コンクリート用セメント、無収縮グラウト材等、高品質の製品を供給しています。さらに、セメント工場では他産業で処理が困難な廃棄物を積極的に受け入れ、約1,450℃の高温焼成プロセスで無害化し、有効活用することで循環型社会の構築に貢献しています。

  • セメント事業は、2022年4月1日付で、当社持分法適用会社であるUBE三菱セメント(株)となりました。

資源をめぐる国際的な課題と当社グループの役割

世界的な需要と資源制約

銅は、ベースメタルの中でも特に幅広い用途に使用されており、短期的な金属価格や為替変動リスク等は存在しますが、新興国でのインフラ整備等により、長期的な需要は堅調に推移するものと予想されます。
しかし、銅は地球上での産出地域が限られており、資源獲得競争が激化しているため、優良な産地は希少になりつつあります。近年では、資源保有国における自国資源保護の政策や環境意識の高まりによる開発反対運動等が増加しています。また、新規に開発される鉱山は高所や深部での採掘が必要であり、品位も低下し、不純物も増加しています。そのため、クリーンな銅精鉱の確保は今まで以上に重要な課題となっています。

持続可能な鉱山運営

当社は、1987年に自社鉱山である国内の明延鉱山を閉山後、主原料である銅精鉱※を海外鉱山からの輸入に依存しており、その安定調達のため海外鉱山への出資を進めています。当社では、出資にあたり、鉱山開発によって生じる環境負荷の低減や地域社会の持続可能な発展のため、法令遵守はもちろん“Social License to Operate”の考え方を重視し、出資先の鉱山では生態系への影響最小化に努めています。また、出資比率に応じて、現地鉱山に人材を派遣し、環境や地域社会に配慮した持続可能な鉱山開発をサポートしています。
また、当社が出資しているマントベルデ鉱山では、「全ての業務上の疾病は予防可能」であり、「全ての事故は改善の機会」と考え、従業員の災害ゼロという目標の継続的な達成を目指しています。従業員や請負業者に対する表彰や研修を通じて、強化に努めています。
海外鉱山における生物多様性の取り組みについては、「生物多様性に関する取り組み(TNFDに則った開示)」を参照ください。

  • 銅精鉱:鉱山で採掘された状態は「鉱石(Ore)」ですが、選鉱し、銅品位が高められると「精鉱(Concentrate)」となります。国内に輸入されるのは「銅精鉱(Copper Concentrate)」です。

海外銅鉱山・開発プロジェクト

  • 権益を保有するWestern Copper and Gold Corporationへの出資
    (プロジェクト参画は検討中)
  • 出資先鉱山および開発プロジェクトには出資比率を付記しています。

高まる都市鉱山開発の重要性

金属資源の安定的な確保と持続的な社会発展のためには、資源の効率的な循環がますます重要になっています。 特に、テレビやパソコン、携帯電話等の廃電気・電子機器(WEEE)には、貴金属、レアメタル等の希少かつ有用な金属が多く含まれ、また、天然の鉱山に比べて環境や地域への影響が少ない高効率な採掘(リサイクル)が可能なため、 これら“都市鉱山”※からの金属リサイクルが注目されています。
当社グループは、1世紀以上にわたり培ってきた非鉄金属の製錬技術やリサイクルに関する豊富な技術・ノウハウを活かし、特にE-Scrap(WEEEを解体、破砕、選別して得られる基板類からなるリサイクル原料)のリサイクルに積極的に取り組んでいます。
当社は、独自に開発した銅製錬プロセス「三菱連続製銅法」の優位性と高度な操業ノウハウのほか、グローバルな集荷体制を構築し、受け入れ・処理能力のみならず、オンラインE-Scrap取引プラットフォーム「MEX」等のサービスも整備・強化してきました。当社は世界60ヵ国以上のリサイクラーとのE-Scrap情報網を有しており、2018年2月に、オランダにおいてE-Scrapの受け入れ・検品・サンプリングを行うMM Metal Recycling B.V.を開設し、2024年9月には欧州地域におけるリサイクル事業の統括拠点としてMitsubishi Materials Europe B.V.を開設し、環境政策面などで世界をリードする欧州を中心として、拡大するE-Scrap市場への対応を進めています。

  • 廃棄された電子機器などの工業製品の地上での蓄積を資源とみなし、その中から貴重な資源を回収する概念です。

E-Scrapリサイクル事業のグローバル展開

資源循環の責任ある担い手として

近年、世界中で耐用年数を越えた大量の電気・電子機器がWEEEとして廃棄され、これらを都市鉱山として有効活用する潜在的な価値が期待されています。一方、不適切な処理方法により、鉛や水銀などの有害物質による環境汚染の懸念も存在します。この問題に対し、EU(欧州連合)は、2003年にWEEEの発生抑制や再利用やリサイクルの促進を目的としたEU指令を採択しました。
また、EU域内の適正なWEEE取引と処理を推進するため、リサイクルチェーンに関わる企業の認証制度が整備されつつあります。当社の直島製錬所と小名浜製錬(株)小名浜製錬所は、2016年秋に日本企業として初めてWEEEフラクション(E-Scrap)の最終処理に係る基準の適合認証を取得しました。また、バーゼル法第15条に基づく再生利用等事業者認定を直島製錬所と小名浜製錬所の双方で取得しております。
2025年1月よりバーゼル条約附属書改正が行われ、全てのWEEEの越境移動は事前通告(PIC)制度の対象となりました。欧州でも2024年に廃棄物輸送規制が改訂されるなど、リサイクル資源の越境移動厳格化並びに地産地消化を進める動きが顕在化しつつあります。当社グループは、従来培った技術と知見、国内外のサプライヤーとの強固なネットワーク等を活かし、お客さまと密にコミュニケーションを取りながら、変わりゆく法規制等に適切に対応、今後も責任あるE-Scrapリサイクルのリーディングカンパニーとして、社会の持続的発展に貢献していきます。

銅製品の原料調達における取り組み

銅製品の原料である銅精鉱については、出資先である海外鉱山からの買鉱を中心とした調達を行っており、国内の製錬所へ安定的に供給しています。当社は、直接的な鉱山経営を行わないノンオペレーターの立場ですが、グローバルな調達活動をする企業として持続可能な開発への責任を果たしていきたいと考えています。
また、買鉱先の鉱山会社に対しては、当社が出資する前にサステナビリティ投融資ガイドラインやCSR調達基準への遵守を要請するとともに、遵守状況の確認のために定期的にアンケート調査等を実施し、必要に応じて状況の把握や改善を申し入れています。さらに、環境保全や人権尊重をグローバルなサプライチェーンの管理における重要な考慮事項と位置付け、これらを事業プロセスに組み込んでいます。

「金属事業カンパニー CSR調達基準」の概要

【環境パフォーマンスの継続的な改善】

  • 継続的な改善を重視した環境マネジメントシステムの導入・運営
  • 鉱山の開発・運営における環境負荷の低減
  • 自然保護区域への配慮、生物多様性の保護
  • 環境問題に関するステークホルダーとの協議

【労働安全衛生の継続的な改善】

  • 継続的な改善を重視した労働安全衛生マネジメントシステムの導入
  • 従業員および業務委託業者の労働災害の防止、地域住民を含めた疾病の発生予防策

【基本的人権の保護】

  •  強制労働、児童労働の防止
  • ハラスメント、不当な差別の排除
  • 強制的な住民移転の回避・補償
  • 先住民の保護
  • ステークホルダーからの苦情、紛争の管理・記録
  • 紛争地における人権侵害が懸念される武装集団などへの直接的、間接的関与の排除

「金属事業カンパニー サステナビリティ投融資ガイドライン」の概要

【倫理的なビジネス】

  • 法令遵守
  • 腐敗防止
  • 政府機関への納付金とEITI(資源採取産業透明性イニシアチブ)の支持
  • サステナビリティガバナンス
  • サステナビリティに関する外部認証の取得

【リスク管理】

  • 環境・社会リスクの評価
  • 環境・社会リスクのマネジメント
  • 緊急事態対応計画の策定
  • 紛争・高リスク地域への適切な対応
  • 取引先・業務委託者等の責任ある行動の促進

【人権】

  • 強制移住・経済損失の回避
  • 安全・人権に関する自主原則の尊重
  • 児童労働の禁止
  • 強制労働の禁止
  • 結社の自由・団体交渉権の尊重
  • 最低賃金の遵守、法定外労働時間の遵守
  • 先住民の生活・権利等の尊重
  • FPIC(自由意思による、事前の、十分な情報に基づく同意)の実施
  • 女性の権利尊重、差別・ハラスメントの禁止
  • 苦情処理メカニズム
  • ステークホルダーエンゲージメント

【安全衛生】

  • 安全衛生の施策の実施・モニタリング
  • 安全衛生に関する教育と健康状態のモニタリング

【環境パフォーマンス】

  • 閉山計画の策定
  • 適切な水の管理・持続的な水の利用等
  • 適切なテーリングの管理
  • 汚染の防止、適切な廃棄物の処理
  • エネルギー効率の向上、GHG排出量の開示
  • 保護地区の尊重
  • 生物多様性へのインパクト・リスク評価

【地域コミュニティ】

  • コミュニティの発展のサポート
  • コミュニティの企業への経済機会の提供
  • 小規模鉱業(ASM)のサポート

サフラナル銅鉱山プロジェクトにおける環境影響評価

当社はテックリソーシーズ社(本社 カナダ)およびその子会社とともに、ペルーにおいてサフラナル銅鉱山プロジェクトに参画しています。
このプロジェクトでは、カンパニア ミネラサフラナル社(CMZ社)がオペレーションを担当しており、当社の実質的な出資比率は20%です。当社は、ペルー国内に子会社を設立のうえ、CMZ社と連携して現地の状況を常に把握しつつ、本プロジェクトの推進に取り組んでいます。
CMZ社は、地元の文化、価値観、伝統、歴史的遺産を尊重し、オープンで誠実な長期的パートナーシップを結ぶことを行動規範に掲げています。そのため、本プロジェクト実施区域周辺の地域住民やステークホルダーとの公式な対話の場を設け、個別にブリーフィングの実施や問い合わせへの対応等も行っています。このような活動を通じて、地元の意見や要望を反映しながら、社会的な信頼の構築に努めています。
また、環境影響評価の許認可取得前には地域住民との対話を重ねてきたほか、将来の鉱山およびインフラ整備地域における環境・地域社会に関する基礎調査も実施してきました。

責任ある鉱物調達・製錬事業者として

「紛争鉱物管理」から「責任ある鉱物調達管理」へ

米国の「金融規制改革法」は、コンゴ民主共和国(DRC)およびその隣接国の鉱物が、人権侵害や暴力行為を行う反政府軍の武装資金源となることを防ぐため、米国上場企業に対し、タンタル、錫、タングステン、金の4鉱物(3TG)を「紛争鉱物」と定義し、原産国の調査と調査結果の開示を義務付けています。近年、EUを中心に「紛争鉱物」の範囲が拡大し、より広く「責任ある鉱物調達」という観点からコバルトや銀についても検証の対象となっています。この動向に連動して、OECD(経済協力開発機構)やSEC(米国証券取引委員会)のほか、RMI※1やLBMA(ロンドン貴金属地金市場協会※2)やLME(ロンドン金属取引所※3)等が、紛争鉱物問題(責任ある鉱物調達管理)に関するガイダンス等を策定しています。
当社は、金、銀、銅、鉛および錫を製錬する責任ある事業者としてこれらの世界的な要請に対応するため、金属原料の供給業者に対して、各ガイダンスに規程されたデューディリジェンス基準に基づいた効率的な調査を行う等の取り組みを進めており、責任ある鉱物調達方針を策定し公開しています。

  1. RMI:Responsible Minerals Initiative 責任ある鉱物イニシアティブ
  2. LBMA:The London Bullion Market Association 貴金属市場で流通する貴金属地金の品質等を管理する協会
  3. LME:London Metal Exchange 世界最大規模の非鉄金属中心の取引所

当社の「責任ある鉱物調達方針」に反する行為があった場合、「責任ある鉱物調達ホットライン」にご連絡ください。

金属事業カンパニー(金、銀、錫に関する取り組み)

当社金属事業カンパニーでは、2011年6月からEITI※1(採取産業透明性イニシアチブ)が推進する「鉱物資源に関わる資金の流れの透明性確保に向けた活動」に支援を表明してきました。 また、紛争鉱物問題に関しても、2012年から準備を進め、2013年8月以来、LBMA(ロンドン貴金属地金市場協会)※2から、「金」に関する紛争鉱物不使用の認証を継続取得し、「銀」について新たに運用を開始しています。さらに、 2014年2月から「錫」に関するRMI※3のRMAP※4認証を毎年取得しています。

  1. EITI:Extractive Industries Transparency Initiative 石油・ガス・鉱物資源等の開発に関わる採取産業から資源産出国政府への資金の流れの透明性を高めることを通じて,腐敗や紛争を予防し,成長と貧困削減につながる責任ある資源開発を促進するという多国間協力の枠組み https://eiti.org/
  2. LBMA:The London Bullion Market Association 貴金属市場で流通する貴金属地金の品質等を管理する協会 http://www.lbma.org.uk/
  3. RMI:Responsible Minerals Initiative 責任ある鉱物イニシアチブ
  4. RMAP:Responsible Minerals Assurance Process(旧「Conflict-free Smelter Program」)

三菱マテリアル金属事業カンパニー 責任ある鉱物調達方針(金、銀、錫)

制定:2013年6月19日
最終改訂(改訂9版):2024年10月1日

 

金属事業カンパニーでは、金、銀及び錫の地金を製造しています。紛争地域等の高リスク地域における、人権侵害、テロリストへの資金供与、マネーロンダリング、不正取引などに係る原料調達は行っておりません。また、原料調達に関して環境及び持続可能性に係る責任に取り組むことの重要性を認識しております。これらの徹底を図るため、金、銀についてはLBMA(London Bullion Market Association)のガイダンスに沿った、錫については“OECD Due Diligence Guidance for Responsible Supply Chains of Minerals from Conflict-Affected and High-Risk Areas”(以下、「OECDガイダンス」)錫、タンタル、およびタングステンに関する補足書に記載のデュー・ディリジェンス・ステップに対してコミットし、RMI (Responsible Mineral Initiative)のRMAP (Responsible Minerals Assurance Process) に沿った管理システムを構築・運用し、定期的に第三者機関による監査を受けることとします。以下に金、銀及び錫に適用する当カンパニーの責任ある鉱物調達方針を示し、実践してまいります。

  1. 総則
    1. 人権を尊重し、いかなる非人道的行為への直接的・間接的加担をも回避するため、武力紛争または広範な暴力または人々に危害が及ぶその他のリスクが存在するような、紛争地域および高リスク地域における勢力との関係が疑われるような鉱物を使用しません。
      “OECDガイダンスAnnexⅡに記載のリスク(下記①~⑥列挙)及び金銀はLBMAガイダンスに記載のリスクについて、リスク管理を行います。(*はLBMAガイダンスにおいてOECDガイダンスとリスクの表現/内容が異なる場合を記載。)
      1. 非政府武装集団 に対する直接的または間接的支援 (①*非合法な非政府武装集団、または公的もしくは私的な治安部隊に対する直接的または間接的支援)
      2. 鉱物の採掘、輸送、取引に関連した人権侵害(②*鉱物の採掘、輸送、取引に関連した系統的又は広範囲な人権侵害)
      3. 公的または民間の保安隊に対する直接的または間接的支援(鉱山現場、輸送ルート、サプライチェーンの上流の関係者を違法に管理する組織や、鉱山へのアクセス地点や輸送ルート沿いおよび鉱物の取引拠点において違法な課税や金や鉱物の恐喝を行う組織、または中間業者、輸出企業、国際取引業者に対し違法な課税や恐喝を行う組織、に対する直接的または間接的な支援)
      4. 贈収賄および鉱物原産地の詐称
      5. 資金洗浄(⑤*資金洗浄またはテロ資金調達)
      6. 紛争及び高リスク地域(CAHRA)からの鉱物採掘、貿易および輸出に関する政府への税金、手数料及び採掘権料の支払いにおける違反
      7. *紛争への加担
        また、金銀についてはLBMAのガイダンスに従い、ESG要因(環境及び持続可能性に係る責任等)を考慮し原料調達を行います。
    2. 原料調達に関するリスク管理を行い、取引停止を含めた対応を行います。
       
  2. 管理体制と責任
    1. 鉱物管理の主管部署は金属事業カンパニー本社であり、製錬所が独自に調達する原料はありません。
    2. 当カンパニーが選任するコンプライアンスオフィサーは、関連部署を統括して管理システムを運用するなど、管理マニュアルで定めた権限を有し責任を負います。
    3. 当カンパニー経営会議は、管理体制全体を統括し、定期的にマネジメントレビューを行うなど、管理マニュアルで定めた権限を有し責任を負います。
  1. 紛争地域および高リスク地域との関係が疑われる勢力からの原料調達における判断基準及び、LBMAにおけるゼロトレランスのサプライチェーンについて
    当社が定めた紛争地域および高リスク地域におけるOECDガイダンスAnnexⅡ及びLBMAガイダンスに記載のリスク(1.総則(1)①~⑥、①*~⑦*)の可能性が高いことが判明した場合の金、銀または錫を含む原料の調達、及びESG要因(環境及び持続可能性に係る責任等)のリスクが高いことが判明した、金、銀を含む原料の調達を、高リスクの原料調達と判断します。
    なお、LBMAガイダンスの要求事項に従い、以下の場合はゼロトレランスのサプライチェーンとして、直ちに取引を停止致します。
    1. 世界遺産の地域からの採掘金銀
    2. 国際的制裁に違反して調達された採掘金銀・リサイクル金銀
    3. 一次サプライヤー/既知の上流企業/その実質的支配者が、既知のマネーロンダリング業者、詐欺師、またはテロリストであるか、重大な人権侵害、または違法な非政府武装集団に対する直接的または間接的な支援への関与が暗黙的に了解される採掘金銀・リサイクル金銀
       
  2. 原料購入先に関するデューディリジェンス(以下、「DD」)の実施、及びLBMAにおける高リスクのサプライチェーンについて
    金、銀を含む原料及び錫を含む原料の全ての購入先についてDDを実施し、リスク評価を行います。リスク評価の結果、高リスクと判断した場合は原料購入の取引の停止/詳細調査(エンハンストデューディリジェンス(以下、「EDD」))等を含む対応を致します。
    なお、LBMAガイダンスの要求事項に従い、高リスクのサプライチェーンとして、EDDを実施した結果の対応は以下のように行います。
    1. マネーロンダリング、テロ資金供与、深刻な人権侵害、違法な非政府武装集団への直接的または間接的支援、鉱物原産地の詐称の事実があると判断した場合、直ちに取引を停止します。
    2. マネーロンダリング、テロ資金供与、深刻な人権侵害、違法な非政府武装集団への直接的または間接的支援、意図的な鉱物原産地の詐称の疑いがあると判断した場合、ESGに関する甚大な影響がある旨の報告があった場合、一時取引を停止します。
    3. 贈収賄、過失による鉱物原産地の虚偽表示、政府に対する税金、手数料及び採掘権料の納付に係る違反、環境、健康、安全、労働及び地域社会に関連する現地法の重大な違反、及び/又は、非常に有害な影響をもたらす可能性が高いESGリスクはあるが、取引先が合理的かつ誠実な努力をしていると結論付けた場合、改善計画に基づく取引継続とします。
    4. 「OECDガイダンス AnnexⅡリスク」に抵触する可能性が低い、低リスクのサプライチェーンと判断した場合、カンパニー経営会議へ報告して承認を得た上で、原料購入の取引を継続(または開始)します。
  1. カンパニー本社購入原料のモニタリング
    1. カンパニー本社で購入した原料は製錬所に供給されます。製錬所では、受入れる全ロットについて、現物確認、鉱量の測定、及び含有成分の分析が行われ、カンパニー本社が事前に提供する購入先提示の情報との整合性の確認を行い、その結果をカンパニー本社へ報告します。
    2. これら従来から実施してきた原料受入れに関するモニタリングシステムを、カンパニー本社における責任ある鉱物調達の観点からも活用し、鉱物混入の防止システムとして運用することとします。
       
  2. 責任ある鉱物調達システムの運用
    1. コンプライアンスオフィサーは、カンパニー本社関連部署及び製錬所に対して、各時点で必要と認められる状況に応じて教育訓練を実施します。
    2. コンプライアンスオフィサーは、カンパニー本社関連部署及び製錬所に対して、少なくとも1年に一度の頻度でモニタリングを実施します。モニタリングでは責任ある鉱物調達システムに従って適切に業務が遂行されているか、逸脱がないかを評価します。
    3. 原料調達において、新たな購入先との取引が開始される場合は、その情報がコンプライアンスオフィサーに伝達されるシステムとし、鉱物混入の防止に努めます。
    4. コンプライアンスオフィサーは、責任ある鉱物調達に関する全ての業務を記録に残し、5年間保存します。また管理マニュアルの文書体系は状況に応じて逐次改訂し、適正に管理するものとします。

以上

金属事業カンパニー(銅、鉛に関する取り組み)

当社金属事業カンパニーで製造する銅地金および鉛地金はLME(ロンドン金属取引所)においてブランド登録されています。LMEが上場ブランドに対して責任ある調達の要件を導入する方針を打ち出したことを受け、金属事業カンパニーでも下記の「責任ある鉱物調達方針(銅、鉛)」を規定し、LMEの調達要件を満たした責任ある鉱物調達を実践しています。

三菱マテリアル(株)金属事業カンパニー 責任ある鉱物調達方針(銅、鉛)

制定:2023年9月1日

 

金属事業カンパニー製錬事業部直島製錬所、小名浜製錬株式会社小名浜製錬所、細倉金属鉱業株式会社では、銅、鉛の地金を生産しています。これらの地金の原料調達について、London Metal Exchange の Responsible Sourcing 及びCopper Mark の Joint Due Diligence に沿った管理システムを構築・運用し、リスク評価についての独立した第三者評価を受けることとします。
以下に銅地金、鉛地金に適用する当カンパニーの責任ある鉱物調達方針を示し、実践してまいります。

  1. 銅及び鉛の原料調達について、"OECD Due Diligence Guidance for Responsible Supply Chains of Minerals from Conflict-Affected and High-Risk Areas" Annex I で定義されている 5 段階のデュー・ディリジェンス・プロセスを実施します。
     
  2. 原料調達について LME Responsible Sourcing に従い、” OECD Due Diligence Guidance for Responsible Supply Chains of Minerals from Conflict-Affected and High-Risk Areas” Annex Ⅱに記載のリスク(下記列挙)を含む悪影響を及ぼすリスク及び現実化した悪影響に対して、特定、評価、対応するリスク管理を行います。
    1. 非政府武装集団に対する直接的または間接的支援
    2. 鉱物の採掘、輸送、取引に関連した人権侵害
    3. 公的または民間の保安隊への直接的または間接的支援
    4. 贈収賄および鉱物原産地の詐称
    5. 資金洗浄
    6. 政府への税金、手数料、採掘権料の支払い
       
  3. 深刻な人権侵害又は非政府武装集団への加担が判明した場合は直ちに取引停止/契約解除を行います。深刻な人権侵害又は非政府武装集団への加担以外のリスクの場合はリスク緩和を図るとともに、リスク緩和ができないと判断した場合には直ちに取引を停止します。また、リスク管理計画は悪影響を及ぼすリスクおよび現実化した悪影響を管理し緩和するための措置を講じるために実施する手順のフレームワークとして使用し、サプライチェーンの更なる上流に結果的に影響を及ぼす供給業者との関与、事業提携および多様な利害関係者によるイニシアチブ、地方政府および中央政府との関与などを介してリスクを管理し、利害関係者からのフィードバックの回収などで効果追跡できる計画とします。
     
  4. 銅及び鉛を含む原料調達サプライチェーンのリスク評価につき、独立した第三者評価を受けるとともに、銅及び鉛を含む原料調達管理の体制及び実施状況について年次報告を行っていきます。

小名浜製錬(株)(金属事業カンパニー所管)(プラチナ、パラジウムに関する取り組み)

当社では、プラチナとパラジウムの製錬をグループ会社のマテリアルエコリファイン(株)に委託しておりましたが、2025年4月1日より小名浜製錬(株)が当該事業を承継しました。これに伴い、小名浜製錬(株)では2025年4月に「責任ある鉱物調達方針(プラチナ、パラジウム)」を制定しました。プラチナ、パラジウム製錬の原料は、当社直島製錬所貴金属工場由来の原料に加えて、当社グループ外からも購入していることから、小名浜製錬(株)ではLondon Platinum and Palladium Market(LPPM)のResponsible Platinum/Palladium Guidanceに則り、人権侵害、テロリストへの資金供与、マネーロンダリング、不正取引等に係る原料サプライチェーンのリスク管理体制を整備しました。そして2025年7月には第三者機関による保証監査を受けた結果、小名浜製錬(株)としてLPPM Good Delivery認証を得ることができました。

日本新金属(株)(加工事業カンパニー所管)(タングステンに関する取り組み)

当社のタングステン製錬を担当するグループ会社の日本新金属(株)は、2021年6月に従来の「紛争鉱物マネジメント方針」を拡張し、より幅広い地域と鉱物に対象範囲を拡げた「責任ある鉱物調達マネジメント方針」として改訂しました。日本国内でタングステン製錬を行う企業として、製錬工程に投入される原料が「責任ある鉱物調達」ガイドラインに沿った原料であることを確保するとともに、社外のタングステン製錬企業から購入する原料についても、同様の管理を進めています。さらに、2021年11月には、「CFS認証」から発展した「責任ある鉱物保証プロセス(RMAP)」の認証を取得し、2025年1月には更新審査の結果を踏まえ、同認証の更新・延長が認められました。