水に関するマネジメント

当社グループにおける水使用量の大部分(約90%)は海水ですが、淡水(工業用水や地下水等)不足が事業に影響を及ぼす可能性があるため、環境方針において「水資源有効利用・保全」を掲げ、水の再利用や循環利用等を通じて使用量の削減に取り組んでいます。
また、近年頻発する台風や洪水災害等によりもたらされる水に関するリスクの管理も行っています。各事業所では水リスクの低減策を進めており、淡水資源の使用量の削減に向けて、海水の有効利用、生産過程の効率化や水使用量の少ない設備の導入による節水、水リサイクル、廃水の浄化処理を徹底しています。洪水対策として、建屋やポンプ、電気設備等の嵩上げや排水ポンプの設置、増水を想定した訓練等にも取り組んでいます。また、事業所からの排水水質の異常や水質事故の防止のため、法規制を上回る排水基準を独自に設定し管理するほか、水質異常を検知するセンサーや自動排水停止システムの導入等にも取り組んでいます。

水リスク評価の取り組み状況

当社グループの製造事業所(一部は研究機関も含む)における水リスクの状況を把握するために、世界資源研究所(WRI)が開発した水リスク評価ツール「Aqueduct(アキダクト)」を使用して、水資源確保に関連するリスクや洪水の影響を受けるリスク等の項目について、事業所ごとに評価を行っています。水ストレスが高いと評価されたグループ会社拠点は11ヵ所ありましたが、これらの拠点に関する売上がグループ会社に占める割合は0.7%に留まります。2025年度の取水量は317千m3、水消費量は70千m3★でした。さらに、より実態に即した水リスク評価とするため、各事業所の過去の水リスクの顕在化状況(洪水、渇水、取水した水の水質悪化に関する発生履歴等)や事業活動に関連する水使用状況(淡水・地下水の使用量、排水中の汚濁負荷物質の排出量)等の情報を考慮して、Aqueductによる水リスクの評価結果を補完しています。
補完した水リスクの評価結果は、評価項目ごとにリスクスコアを表したレーダーチャートによって事業所ごとの水リスクを可視化し、共有しています。各事業所では、高リスクと評価された項目をその事業所独自のリスクとして登録し、水リスクの低減を含む対応を策定・実施しリスク管理を行っています。

事業所別の水リスクのレーダーチャート 表示例

図

水リスクの項目のうち、「水質リスク」については取水した水の水質悪化による操業への影響や事業所排水による環境への影響、「規制・評判リスク」については取水・排水に対する規制の強さ・地域の評判の観点から、リスクを取水と排水に分けて評価しています。

出資鉱山における水資源マネジメント

当社は、水ストレスリスクが高いチリで銅鉱山事業を展開しており、操業に必要な大量の水を安定的に確保するため、水使用効率の最大化と新規取水量の削減に取り組んでいます。共同出資会社と連携し、淡水使用の最小化、再利用の促進、環境保護を推進することで、地域社会との共生と中長期的な事業継続を目指しています。

マントベルデ鉱山

マントベルデ鉱山では、操業に使用する水の全量を海水淡水化により確保しています。2025年の海水取水量は2,050万m3で、2024年の1,460万m3から41%増加しました。水使用原単位は鉱石処理量1t当たり0.697m3となり、2024年から36%増加しました。これは、硫化鉱の処理および銅精鉱生産の本格化に伴い、水需要が増加したためです。
。海水淡水化の過程で生じた濃縮塩水については、2025年に1,110万m3を管理された排水として海に戻しました。この排水は、海域および内陸表流水への液体廃棄物の排出を規制するチリの「Norma de Emisión DS 90」基準に適合しています。
さらに、淡水化プラントでは海況監視・早期警報システムを導入し、海況変化に伴う操業リスクを事前に把握することで、淡水化水の安定供給とプラントの運転継続性の向上に取り組んでいます。

ロスペランブレス鉱山

ロスペランブレス鉱山では、海水利用の拡大と高い水再循環率の維持に取り組んでいます。海水淡水化プラントは2024年に稼働を開始し、現在、毎秒400ℓの淡水化能力を有しています。2025年の水再循環率は80%です。
大陸由来の水への依存をさらに低減し、将来の操業のレジリエンスを高めるため、海水淡水化プラントの生産能力を毎秒400ℓから800ℓへ倍増する拡張工事を進めており、2027年の完成を目指しています。
また、操業会社であるAntofagasta Mineralsでは、水管理の標準化を進め、各事業所に水管理の実践と遵守状況のモニタリングを担う水管理責任者(Water Leaders)を配置しています。2025年には、グループ全体で70人を超える従業員が水管理および関連基準に関する研修に参加したほか、各事業所の水収支をリアルタイムで一元的に把握するシステムを導入しました。

エスコンディーダ鉱山

エスコンディーダ鉱山では、海水淡水化設備の整備と操業プロセスにおける水の回収を水戦略の柱としています。節水や水の回収・再利用を通じた水使用量の削減に加え、関連する送水・電力インフラを含め34億3,000万米ドルを投資し、毎秒2,500ℓの処理能力を持つ海水淡水化プラントを整備しました。
2020年度下期にモントゥラキ井戸群からの地下水取水を停止して以降、安全な採鉱に必要な露天掘りピットの排水として汲み上げる少量の地下水を除き、操業用水は全量を淡水化海水で賄っています。