水に関するマネジメント

当社グループにおける水使用量の大部分(約87%)は海水ですが、淡水(工業用水や地下水等)不足が事業に影響を及ぼす可能性があるため、環境方針において「水資源有効利用・保全」を掲げ、水の再利用や循環利用等を通じて使用量の削減に取り組んでいます。
また、近年頻発する台風や洪水災害等によりもたらされる水に関するリスクの管理も行っています。各事業所では水リスクの低減策を進めており、淡水資源の使用量の削減に向けて、海水の有効利用、生産過程の効率化や水使用量の少ない設備の導入による節水、水リサイクル、廃水の浄化処理を徹底しています。洪水対策として、建屋やポンプ、電気設備等の嵩上げや排水ポンプの設置、増水を想定した訓練等にも取り組んでいます。また、事業所からの排水水質の異常や水質事故の防止のため、法規制を上回る排水基準を独自に設定し管理するほか、水質異常を検知するセンサーや自動排水停止システムの導入等にも取り組んでいます。

水リスク評価の取り組み状況

当社グループの製造事業所(一部は研究機関も含む)における水リスクの状況を把握するために、世界資源研究所(WRI)が開発した水リスク評価ツール「Aqueduct(アキダクト)」を使用して、水資源確保に関連するリスクや洪水の影響を受けるリスク等の項目について、事業所ごとに評価を行っています。水ストレスが高いと評価されたグループ会社拠点は11ヵ所ありましたが、これらの拠点に関する売上がグループ会社に占める割合は0.6%に留まります。2024年度の取水量は209千㎥、水使用量は273千㎥でした。さらに、より実態に即した水リスク評価とするため、各事業所の過去の水リスクの顕在化状況(洪水、渇水、取水した水の水質悪化に関する発生履歴等)や事業活動に関連する水使用状況(淡水・地下水の使用量、排水中の汚濁負荷物質の排出量)等の情報を考慮して、Aqueductによる水リスクの評価結果を補完しています。
補完した水リスクの評価結果は、評価項目ごとにリスクスコアを表したレーダーチャートによって事業所ごとの水リスクを可視化し、共有しています。各事業所では、高リスクと評価された項目をその事業所独自のリスクとして登録し、水リスクの低減を含む対応を策定・実施しリスク管理を行っています。

事業所別の水リスクのレーダーチャート 表示例

図

水リスクの項目のうち、「水質リスク」については取水した水の水質悪化による操業への影響や事業所排水による環境への影響、「規制・評判リスク」については取水・排水に対する規制の強さ・地域の評判の観点から、リスクを取水と排水に分けて評価しています。