ステークホルダーとの関わり

ステークホルダーとの関係構築の考え方と主なコミュニケーション方法

当社グループでは、ステークホルダーの皆さまとの対話を通じ、当社グループに対する期待や要請を事業戦略や活動に組み込むことが、持続可能な企業経営を進めるうえで重要と考えています。コミュニケーションの機会を充実させながら、ステークホルダーの皆さまの視点をより深く経営に反映することに努めています。

ステークホルダーとの関係構築の考え方と主なコミュニケーション方法

ステークホルダーと事業との関係

ステークホルダー

事業との関係

株主・投資家

適時適切な情報開示、経営を巡る対話

経営の透明性と説明責任を果たしながら、株主や投資家との双方コミュニケーションを通じて持続的な企業価値の向上を目指しています。

お客さま

顧客満足度向上を重視した事業活動

お客さまのさまざまなニーズや要請に応えて、高品質な製品・サービス等の提供を行っています。

従業員

一人ひとりの人材価値の向上

あらゆる多様性を持つメンバーが共存し、認め合い、⼀⼈ひとりが互いを活かしながら最⼤限にその能⼒を発揮し、成⻑と⾃⼰実現を実感しながら安⼼して働ける職場づくりを⽬指しています。

地域社会

信頼関係の構築と発展への貢献

地域社会との交流や対話を積極的に行い、私たちの事業活動について、相互に正しい認識と理解が得られるように努めています。

お取引先

(調達先)

公正で公平な取引と協働

全てのお取引先との間で、公正・適正な取引を行い、お取引先とともに責任ある原材料・鉱物調達に取り組んでいます。

業界団体/経済団体

社会課題の解決に向けた連携

日本鉱業協会、日本地熱協会や、日本経済団体連合会等との意見交換、協働により、社会課題の解決に取り組んでいます。

非営利組織

(教育・研究機関、NGO・NPO)

社会的要請を巡る対話と連携

教育・研究機関やNGO・NPOとの連携を通じて、教育支援、人材育成等に貢献しています。

行政

良好で健全な関係の維持、政策への協力

政府機関や地方自治体が策定する各種関係法令の遵守のみならず、連携し、地域の発展に貢献する事業を行っています。

地球環境/将来世代

環境保全に向けた幅広い対話・協働

環境問題の解決に貢献すべく、さまざまな関係者とのネットワークを構築し、意見交換を行い、協働を進めています。

ステークホルダーの期待・要請への対応

当社グループは、ステークホルダーの皆さまの指摘や提言に応えることを通じて、サステナブル経営の水準を向上させています。主な期待・要請には、以下のように取り組んでいます。ステークホルダーとの期待・要請を把握するためのコミュニケーション方法については、「ステークホルダーとの関わり」をご参照ください。

主な期待・要請

当社グループの対応状況

資源循環への取り組みのさらなる拡大・深化

  • 「循環型社会の実現に貢献する」ことを、私たちの目指す姿に明記
  • グループ全体でのマテリアルフローの最適化
  • 都市資源リサイクル強化に向けた事業展開と研究開発

気候変動に伴うリスク・機会への対応

  • 2045年度カーボンニュートラルを目指したGHG排出量削減の推進
  • 脱炭素化に貢献する素材・製品・技術の開発
  • 再生可能エネルギーの開発・利用促進
  • CO_{2}回収・利用に関する実証実験・技術開発の推進
  • TCFD提言に基づくシナリオ分析の実施
  • カーボンフットプリントの算定

休廃止鉱山の管理

  • 当社グループが国内に有する休廃止鉱山(非鉄金属鉱山)における坑廃水処理、集積場の維持等の管理業務の継続(一部の鉱山の文化的遺産としての保全・効果を含む)
  • 設備更新・環境対策工事(激甚化する自然災害に備えた鉱害・危害防止対策工事、大規模地震に備えた集積場安定化工事、坑廃水の発生源対策、老朽化設備の更新等)の計画的実施
  • 休廃止鉱山管理業務のデジタル化
  • 休廃止鉱山実務者の育成
  • 休廃止鉱山の管理に関連する技術開発

生物多様性の保全(社有林、鉱山周辺)

  • 社有林においてSGEC森林認証を取得し、持続可能な森林経営を推進
  • 出資先鉱山に対し生物多様性への配慮を確認し、自然公園等に隣接する事業所でも保全活動を実施

サプライチェーンでの人権尊重

  • 当社グループを含むサプライチェーンにおける、当社グループ「人権方針」「調達方針」等の実効性確保に向け、啓発活動、デューデリジェンス、救済措置の確保等、多層的な取り組みを展開
  • 金属事業におけるサステナビリティ投融資ガイドラインおよびCSR調達基準の運用、一定規模の権益を有する出資先鉱山での地域社会との対話
  • 責任ある鉱物調達認証の維持(金、銀、錫、銅、鉛、タングステン)

品質管理

  • 品質問題に係る再発防止策の継続実施
  • 品質振り返りの日等による品質問題の風化防止
  • 「攻めの品質」による規格外品を発生させない仕組みづくり

安全で快適な職場環境の構築

  • 「SCQDE(安全と健康を全てに優先)」の浸透活動
  • ゼロ災プロジェクトの継続
  • リスクアセスメントによる設備安全化(工学的対策)の徹底
  • 安全衛生教育の強化
  • 従業員の健康意識向上
  • 安全衛生推進体制の強化
  • 協力会社従業員の安全確保
  • 火災爆発等事故の防止

人材の育成

  • 従業員コミュニケーションの活性化
  • 教育研修体系の展開と継続的改善
  • 次世代経営人材の育成

多様な人材の活躍推進

  • ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの推進
  • 健康経営の実践

情報セキュリティの強化

  • 情報インフラの強化拡充
  • 既知の脆弱性を狙った攻撃に対する防御策の充実
  • 標的型攻撃等、新たな脅威に対するリスクの低減
  • セキュリティ・オペレーション・センター(SOC)による脆弱性・脅威の監視、およびセキュリティインシデント対策チーム(CSIRT)設置による迅速なインシデント対応

ガバナンスの進化

  • グループガバナンス強化(コミュニケーション、コンプライアンス体制・意識、資源配分)
  • 実効性と確実性を高めた新たなリスクマネジメントシステムの構築
  • さらなる取締役会の機能発揮、コーポレートガバナンス・コードに基づく諸対応

株主との対話

当社では、毎年開催する定時株主総会を、株主の皆さまと当社の経営トップとが直接対話する貴重な機会として捉えています。そのため、株主の皆さまが、株主総会における報告事項および決議事項について事前に十分検討いただけるよう、当社WEBサイト等において株主総会資料を法定期日前に開示するとともに、早期発送に努めています。また、株主総会資料の情報開示の充実に努めています。

さらに、書面に加えてインターネットによる議決権の行使を可能としているほか、国内外の機関投資家向けの議決権電子行使プラットフォームにも参加しています。株主総会では、映像を用いて議事の内容を分かりやすく説明しているほか、各決議事項に対する議決権の行使結果を、株主総会終了後当社WEBサイト等で公表しています。2021年6月24日開催の第96回定時株主総会から、また、株主の皆さまの利便性向上のため、ハイブリッド参加型バーチャル株主総会(ライブ配信)を実施しています。ライブ配信した株主総会の動画は当社WEBサイトに一定期間掲載しています。

所有者別株式分布

投資家との対話

2024年度は、決算説明会(四半期ごと)、経営説明会、中期経営戦略2030進捗説明会、IR day、サステナビリティ説明会を開催しました。各説明会では、決算内容、中期経営戦略2030の進捗、サステナビリティ等への取り組みについて説明を行った後に質疑の時間を設けることで、参加者とのコミュニケーションの強化を図りました。なお、参加者からいただいたご意見については、毎月経営陣向けに発行しているIRレポートを通してタイムリーにフィードバックするとともに、説明会での説明や質疑の内容については、個人投資家の皆さまにもご覧いただけるように、当社Webサイトに議事録を掲載しました。

また、機関投資家・証券アナリストの皆さまとは、個別ミーティングおよび社長・CFO・社外取締役とのスモールミーティング等を通じて、活発な意見交換を行いました。一方、個人投資家の皆さまとは、個人投資家説明会への参加や株主通信「まてりある通信」の発行およびWEBサイトへの掲載を通じてコミュニケーションを図りました。

今後もステークホルダーの皆さまとの対話を深化させ、情報公開の維持・向上を図り、積極的なIR・SR活動を展開していきます。

2024年度IR・SR活動実績

項 目

2024年度実績回数

決算説明会(四半期決算ごと)

4回

中期経営戦略2030進捗説明会

1回

IR Day

1回

サステナビリティ説明会

1回

IR・SR個別ミーティング

207件

海外IR

13回

証券会社主催 個人投資家説明会

3回

ステークホルダーへの経済的価値配分

適切な経済的価値配分に努める

当社は、多種多様なステークホルダーの皆さまとの関わりの中で事業収益を得て、経済的付加価値を生み出しており、その付加価値をステークホルダーへ適切に配分することが、社会的責任を果たすうえで重要であると考えています。

2024年度の経済的付加価値

2024年度の当社単体における収入は16,431億円でした。ここには、製品・サービスの販売による売上と、投資配当を含む営業外収益、そして特別利益が含まれています。一方、主にお取引先への支払である事業コストは16,001億円でした。
事業活動を通じて生み出した付加価値は、総収入から事業コストを引いた430億円となりました。

付加価値の配分状況

従業員への配分である、法定福利費と退職給付費用を含む人件費は、470億円です。

金融機関等の債権者には、資金借入等の利息として、50億円が配分されています。社会・地域への配分は、政府を通じたものと、自社の社会貢献活動の一環として行ったものとがあります。政府に対しては、会計上の法人税と経費で負担している租税公課の合計で13億円を計上しています。また、地域社会貢献活動方針のもと、「地域での環境保護・保全活動の推進」、「次世代教育・ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョンの支援」、「地域社会との共生」の3分野に対し、寄付金や施設開放、従業員の役務提供等を含む社会貢献活動として4億円を支出しています。

株主(国内外の法人および個人)への配分である支払配当金は、総額で127億円です。

なお、将来に向けた投資や備えに充当する内部留保は、234億円減少しております。

経済的付加価値配分

分類

ステークホルダー

金額(百万円)

内容/算出方法

収入

お客さま・お取引先

1,643,122

売上高・営業外収益・特別利益

支出

お取引先

1,600,099

事業コスト(売上原価および一般管理費のうち、人件費・租税公課・寄付金を除いた金額)

従業員

46,959

人件費(法定福利費、退職給付費用を含む)

債権者

5,041

支払利息

政府

1,299

税金(法人税、経費として負担している租税公課)

社会一般

392

寄付金等

株主

12,692

支払配当金

内部留保

▲23,360

当期純利益から支払配当金を差引いた金額

  • 寄付金に加え、現物寄付、施設開放、従業員の役務提供等を日本経団連方式により金額換算して算定。

海外事業における現地への貢献の考え方

当社グループは、海外での事業活動に際し、まず各国の国情や国民性を理解し、企業市民として現地の一員として活動することを重視しています。また、海外事業で得た収益は可能な限り現地に再投資し、事業の成長と地域の持続的な発展に貢献するよう努めています。

退職給付費用の拠出

退職一時金に係る債務は254億円、確定給付型年金に係る債務は323億円です。このうち732億円(カバー率126.9%)を年金資産として社外の基金に拠出しています。また、1億円を退職給付引当金として費用化処理し、残額▲156億円は未認識債務となっています。退職給付費用の未認識債務については、主として10年にわたる定額法に基づいて費用計上しています。

政府から受けた財務的援助

政府からの補助金や助成金等の受給額は0.4億円でした。なお、当社および当社グループ会社については、政府による株式保有はありません。