社有林の樹種を紹介する第4弾(最終回)は「アカエゾマツ」です。
アカエゾマツはマツ科トウヒ属の常緑針葉樹で、漢字では「赤蝦夷松」と書きますが、近縁種のエゾマツとともに「北海道の木」として指定されています。アカエゾマツはその名の通り樹皮がやや赤みを帯びていることなどからエゾマツと見分けることができます。
アカエゾマツの木材は年輪幅が狭く均質で、針葉樹の中では強度が高いと言われており、とりわけ天然のアカエゾマツはピアノの響板(グランドピアノでは弦の下に張ってある板)や、バイオリンの表面板といった楽器材の用途として活用されています。また、アカエゾマツは成長がゆっくりで樹形が整っているものが多いという特徴から、庭木や盆栽等としても活用されています。
三菱マテリアルの森にもアカエゾマツの森があり、その個性が生きる活用をしています。2018年9月に発生した北海道胆振東部地震では、三菱マテリアルの森が所在する厚真町も甚大な被害を受けました。震災から初めての冬を迎えようとした頃、少しでも三菱マテリアルの森が地元の元気に繋がるような形で、お役に立てればと思い、同町所在の保育園2園に、このアカエゾマツを「クリスマスツリー」として寄贈しました。クリスマスツリーと言えばモミの木(マツ科モミ属)が一般的ですが、郷土の木であるアカエゾマツも適しており、園児たちの手によって装飾され、立派なクリスマスツリーとなりました。
クリスマスツリーとしての役目を終えたアカエゾマツは、春が来たら三菱マテリアルの森へ戻します。一部の木は、保育園や地元企業にて次のクリスマスまで大事に保管していただくことにもなりました。
これまで4回にわたり社有林の樹種を紹介してきました。ひと括りに「森」といっても、様々な個性のある樹木から成り立っている事をお伝えできたのではないかと思います。私たちは、こうした木々の多様性を大事にしながら、持続可能な範囲でそれらを有効活用し、三菱マテリアルの森が少しでも皆様の生活を豊かなものにできるよう努めてまいります。