今回から1年に亘り、「三菱マテリアルの森」で生育する代表的な樹種について、その特徴やエピソードをご紹介いたします。第1弾は「カラマツ」です。
カラマツは主に寒冷地に生育し、成長が早くて丈夫な材質であるため、北海道ではかつて炭鉱の坑道を支える坑木用途で積極的に植林されていました。また、日本の固有種の中では唯一葉を落とす松で別名「{落葉松}^{らくようまつ}」とも呼ばれており、降雪前にカラマツ林が一斉に黄葉すると、一面は美しい黄金色に染まります。
カラマツ材は強度に優れ、赤みのある独特の美しい風合いがあるなどの利点がある一方、乾燥後にねじれによる割れや狂いが出やすい難点があります。そのため、坑木以外の活用としては梱包用材やパレット材などの資材用途が中心でした。しかし、近年では板状の木材を貼り合せて加工することにより、合板材や集成材として建築材などで活用される事例が増えています。また、木材の乾燥技術自体も大幅に向上しており、カラマツ材を丸太そのまま、あるいは切り出して柱等に活用する{無垢材}^{むくざい}としての利用も可能になりつつあります。
なお、北海道における三菱マテリアルの森では、現在もカラマツ、グイマツ、グイマツ雑種F1などのカラマツ系の樹種を中心に植栽しています。一般的にカラマツを植えてから伐採するまでの期間は30~50年程度と言われていますが、カラマツ材が今後も建築材などの幅広い用途で需要があることを想定し、三菱マテリアルの森ではカラマツを伐採するまでの期間を延長し、より太く、高付加価値のある大径材を生産することを目指しています。
また、余談になりますが、カラマツ林を経営していると、木材生産以外に思いがけない副産物を得られます。毎年夏の終わりごろになると、地面からハナイグチ(別名ラクヨウ)というキノコがポコポコと頭を出します。ハナイグチは見た目の愛らしさに加え、キノコ狩りでは大人気の食用キノコであり、これからも貴重な森林資源として守っていきたいと思います。