三菱マテリアルの森には多くの希少種が生息しています。今回はその中から、国の天然記念物であり、環境省のレッドリストで絶滅危惧Ⅱ類にも指定されているクマゲラについてご紹介いたします。
キツツキ類のクマゲラは、日本全国に広がる三菱マテリアルの森のうち、特に北海道の山林において、比較的広範囲で確認されています。特徴は何といっても、カラスほどの大きな黒い体にトレードマークの赤い帽子。
キツツキ類は、木をつついて音で縄張りを主張する「ドラミング」を行なうことが知られています。キツツキと聞いて一般的に想像するのは、「コココココンッ」という軽やかな音ですが、クマゲラの場合は「ゴゴゴゴゴッ!!」という豪快な音を発します。その一方で、飛び立つときは「コロコロコロコロ...」と独特の愛らしい鳴き方をするため、広い森の中でも比較的容易にその存在を感じることができます。
クマゲラは好奇心が強いのか警戒心が薄いのか、私たちが林内に立ち入って森林の調査を行っていると、すぐ近くまで遊びに来てくれることもあります。そんなクマゲラですが、春になると木の穴に巣作りして子育てを行うので、この時期に林内で作業を行う場合は、クマゲラの子育てを邪魔しないよう細心の注意を払っています。
クマゲラをはじめとする希少種の保全に努めるのはもちろんのことですが、その他多くの動植物についても、その特性等について理解を深め、必要に応じて生息場所や巣の位置をマッピングしてチーム内での共有を図るなど、適切な生物多様性の保全に努めることも私たちの大事な役目です。